『ザ☆ウルトラマン』徹底解説:U40とジョーニアスが開いたアニメ版ウルトラマンの地平

ウルトラシリーズ

目次

※本記事は『ザ☆ウルトラマン』(1979〜1980年放送)および内山まもる版漫画『ザ・ウルトラマン』の内容に結末まで触れます。未見の方はご注意ください。

目次
  1. 『ザ☆ウルトラマン』とは何か――「第3期」開幕を告げたアニメ版ウルトラマン
    1. 1970年代後半の「特撮停滞」とアニメブーム
    2. 円谷プロ×日本サンライズという座組の意味
    3. シリーズ構造としての「第3期ウルトラシリーズ」
  2. 科学警備隊とヒカリ超一郎――組織ドラマとしての『ザ☆ウルトラマン』
    1. ヒカリ超一郎=ジョーニアスの二重性の描き方
    2. 科学警備隊メンバーと日常描写の豊かさ
    3. ウルトリアに象徴される「メカSF」としての側面
  3. 惑星U40とウルトラマインド――アニメ版が拓いた設定の地平
    1. 「もうひとつのウルトラの星」U40の歴史と神話
    2. ウルトラマインドと「選ばれた戦士」の構図
    3. ジョーニアスの戦闘表現とアニメならではの見せ方
  4. 怪獣から「ヘラー軍団編」へ――スペースオペラ化するウルトラマン
    1. アニメならではの怪獣表現とエピソード群
    2. 反逆者ヘラーと「ウルトラ人同士の戦争」という構図
    3. 艦隊戦・宇宙決戦がもたらしたシリーズ内の転換
  5. 内山まもる版漫画『ザ・ウルトラマン』――もう一つの「ザ・ウルトラマン」
    1. 学年誌から『コロコロコミック』へ――連載の流れ
    2. 「ジャッカル編」がもたらした衝撃とウルトラ兄弟の再定義
    3. アニメ版との比較で見える二つの「ザ・ウルトラマン」
  6. メディアミックスとしての「ザ・ウルトラマン」――多元宇宙とキャラクターの再解釈
    1. 昭和ウルトラにおけるメディアミックスの実態
    2. メロスやジョーニアスの「逆輸入」が示すもの
    3. タイトルとしての「ザ・ウルトラマン」が指し示す地平
  7. 『ウルトラギャラクシーファイト』以降の再評価――ジョーニアスはどうアップデートされたか
    1. YouTube発の国際展開とジョーニアス再登場の意味
    2. 実写スーツのアクションが継承したアニメのイメージ
    3. レジェンド戦士としての格付けとファン受容
  8. 45周年記念とアーカイブ化の現在地――「過去作」から「資産」へ
    1. 映像ソフト・配信でのアクセス手段
    2. 音楽・グッズ展開とファンコミュニティ
    3. 昭和アニメ特撮をめぐる保存と再評価の課題
  9. まとめ――『ザ・ウルトラマン』が切り拓いたもの
  10. 表1:『ザ☆ウルトラマン』の主張と構造
  11. 表2:アニメ版と漫画版「ザ・ウルトラマン」の比較
  12. 論点のチェックリスト

『ザ☆ウルトラマン』とは何か――「第3期」開幕を告げたアニメ版ウルトラマン

1970年代後半の「特撮停滞」とアニメブーム

1970年代前半のウルトラシリーズは、『ウルトラマンA』『ウルトラマンタロウ』『ウルトラマンレオ』と立て続けに制作されましたが、いわゆる「第2期ウルトラシリーズ」は1975年の『レオ』終了でいったん区切りを迎えます。石油ショック後の経済状況、子ども番組枠の変化、巨大特撮セットのコストなど、実写特撮には逆風が強まっていました。

一方で、テレビアニメは『宇宙戦艦ヤマト』(再放送&劇場版)や『機動戦士ガンダム』(1979年放送開始)などを軸に、長期的なストーリー展開やSF色の濃い作品が注目される時代に入っていきます。限られた予算のなかで宇宙空間や巨大戦艦を描くには、ミニチュア特撮よりセルアニメのほうが自由度が高い、という判断も自然でした。

そうしたなかで生まれたのが、1979年4月4日〜1980年3月26日にTBS系で放送されたテレビアニメ『ザ☆ウルトラマン』です。円谷プロダクションが企画・制作主体となり、アニメーション制作は日本サンライズ(現・サンライズ/バンダイナムコフィルムワークス)が担当しました。ウルトラシリーズとしては初の本格的テレビアニメであり、後に「第3期ウルトラシリーズ」の最初の作品と位置づけられます。

円谷プロ×日本サンライズという座組の意味

当時の日本サンライズは、『無敵超人ザンボット3』(1977)や『無敵鋼人ダイターン3』(1978)など、メカ描写と群像劇に強みを持つスタジオとして頭角を現していました。円谷プロがサンライズをパートナーに選んだことで、『ザ☆ウルトラマン』はウルトラシリーズのテイストと、サンライズ流のスペースオペラ&メカSFが融合した作品になります。

  • 宇宙艦隊戦
  • 数万人規模のウルトラ人が住む惑星文明
  • 巨大戦艦ウルトリアを中心とした艦隊アクション

こうした要素は、実写特撮として撮ろうとすると膨大なコストと手間がかかる領域です。アニメであれば、セル枚数や作画労力は必要なものの、宇宙空間・巨大建造物・異星文明のスケール感を造形的に追求できます。アニメ化は単なる「コストダウン」ではなく、「ウルトラシリーズの舞台を一気に宇宙規模へ広げる手段」として選ばれた、と見るのが妥当でしょう。

音楽面では、初代『ウルトラセブン』などでおなじみの冬木透が参加し、オーケストラ色の強いスコアで作品世界を支えました。主題歌「ザ・ウルトラマン」も冬木透の作曲で、ブラスとコーラスが映えるヒーローソングです。

シリーズ構造としての「第3期ウルトラシリーズ」

『ザ☆ウルトラマン』は、後に『ウルトラマン80』(1980)、長いブランクを挟んで『ウルトラマンティガ』(1996)へと続いていく「第3期」の起点として語られます。ここで重要なのは、本作が「昭和ウルトラ」の要素を引き継ぎながら、次の3点で新しい地平を切り拓いたことです。

  1. アニメーションによる表現領域の拡張
    宇宙規模の戦争、星間文明、流体生物など、実写特撮では難しいスケールと造形を正面から扱った。
  2. 地球防衛組織=科学警備隊の群像劇化
    隊長交代や隊員の私生活・恋愛など、実写以上に長期ドラマ的な要素が盛り込まれた。
  3. 「もうひとつのウルトラの星」U40という独自神話
    M78星雲とは別系統のウルトラ人を創出し、シリーズ世界観を多元的に広げた。

科学警備隊とヒカリ超一郎――組織ドラマとしての『ザ☆ウルトラマン』

ヒカリ超一郎=ジョーニアスの二重性の描き方

主人公は地球防衛軍宇宙ステーションEGG3所属の宇宙開発員・ヒカリ超一郎。科学警備隊への転属途上で、宇宙空間に出現したウルトラマンジョーニアスと遭遇し、一体化します。以後、彼は科学警備隊隊員としての日常と、ウルトラマンとしての戦いを並行して生きることになります。

ヒカリ超一郎を演じた富山敬は、『宇宙戦艦ヤマト』の古代進役などで知られる実力派声優であり、20歳前後の若者らしい情熱と、ウルトラマンとしての重責を背負う孤独感を巧みに表現しています。変身は、額にビームフラッシャーをかざし、「ジョーニアス!」と叫ぶことで行われます。

注目したいのは、ヒカリが「選ばれし人間」だからではなく、宇宙での偶発的接触から一体化が始まる点です。これは初代『ウルトラマン』のハヤタの事故と似ていますが、『ザ☆ウルトラマン』ではその後の心理描写がより細かく積み重ねられていきます。

科学警備隊メンバーと日常描写の豊かさ

科学警備隊は、地球防衛軍極東ゾーンに設置された精鋭部隊という設定です。アニメであることを活かし、各隊員の私生活や感情の揺れが、従来以上に描き込まれます。

キャラクター名役職・特徴声優登場期間
ヒカリ超一郎主人公・ジョーニアスと一体化富山敬全話
アキヤマ徹男初代キャップ・冷静な指揮官森川公也第1-26話
ゴンドウ大助二代目キャップ・厳格な軍人柴田秀勝第27話以降
星川ムツミ女性隊員・医療と戦闘の両立島本須美全話
トベ博明メカニック担当・兵器開発の天才二又一成全話
マルメ敬パワー担当・ムードメーカー兼本新吾全話
ピグコンピュータロボット・感情豊か滝口順平全話

初代隊長のアキヤマ徹男は冷静沈着で部下思いのリーダーとして前半を支えます。二代目隊長のゴンドウ大助は中盤で着任し、より軍人寄りの厳格さを持ち、ヘラー軍団との決戦期にふさわしい指揮官像として機能します。

特に注目すべきは星川ムツミで、18歳の女性隊員として医療班から転属した背景を持ちながら、高い戦闘技能も備えています。性別による特別扱いを拒み、プロとして扱われることを望む描写が印象的で、島本須美にとって声優デビュー作となりました。

コンピュータロボット「ピグ」(正式名称:コンピュータロボット・78号)は、ピグモンをモデルにした分析ロボットでありながら、人間以上の計算能力と、豊かな感情表現を持つキャラクターとして描かれました。滝口順平の温かみのある演技により、単なるマスコットではなく、チームの重要な一員として視聴者に印象づけられています。

ウルトリアに象徴される「メカSF」としての側面

後半から登場する巨大戦艦ウルトリアは、本作をスペースオペラとしても成立させたキーアイテムです。全長数百メートル級の超弩級戦艦という設定で、多数の戦闘機・シャトルを搭載し、惑星間航行・艦隊戦・対巨大怪獣戦と多様な用途で活躍します。

セル画で描かれた艦隊戦や宇宙空間のドッグファイトは、当時のサンライズ作品に通じる魅力があります。ウルトリアの存在によって、科学警備隊は「地球の基地に閉じた組織」ではなく、「宇宙へ打って出る軍事・調査組織」として再定義されていきます。

惑星U40とウルトラマインド――アニメ版が拓いた設定の地平

「もうひとつのウルトラの星」U40の歴史と神話

『ザ☆ウルトラマン』で最も特徴的なのが、主人公ウルトラマンジョーニアスの出自です。彼は、従来のウルトラシリーズでおなじみのM78星雲 光の国の出身ではなく、「惑星U40(ユーフォーティー)」という独自の異星文明から来た戦士として描かれます。

U40文明のイメージは、古代ギリシャ風の神殿建築や衣装を思わせるデザインで統一され、科学文明と神話性が同居する世界観になっています。作中の設定によれば、U40人の祖先は太古に宇宙各地へ移住しており、その一部が地球へ到達して人類に影響を与えたとされています。

ウルトラマインドと「選ばれた戦士」の構図

約100万年前、U40の人々は「ウルトラマインド」と呼ばれる特殊な物質/エネルギー体を発見・取り込むことで、ウルトラ人(ウルトラヒューマノイド)へ進化する能力を獲得しました。

ここで重要なのは、ウルトラマンが「単独の超人」ではなく、「特定文明の進化した種族」として明確に位置づけられている点です。しかし、U40の住人すべてがウルトラマンになれるわけではなく、ウルトラマインドの力を強く取り込んだ一部の戦士だけが巨大化能力を持ちます。ジョーニアス、エレク、ロトなどがその代表であり、彼らはU40の「七人の戦士」の一員として描かれます。

ジョーニアスの戦闘表現とアニメならではの見せ方

ジョーニアスの基本スペックは、身長約70メートル、体重約5万トンと設定されており、これは初代ウルトラマンと比較すると大型化していることがわかります。外見的な特徴として、額に星型の紋章が輝いており、これが変身アイテムであるビームフラッシャーと同じデザインであることが視覚的に示されています。

主力必殺技である「プラニウム光線」は、腕をL字または十字に組んで放たれる強力な光線技であり、アニメならではの極太の光条として描かれます。実写特撮では光線の太さや輝度に物理的な限界がありましたが、アニメーションではセル画の重ね合わせや発光エフェクトによって、より視覚的にインパクトのある表現が可能になりました。

怪獣から「ヘラー軍団編」へ――スペースオペラ化するウルトラマン

アニメならではの怪獣表現とエピソード群

『ザ☆ウルトラマン』前半は、基本的に一話完結の怪獣エピソードが中心です。この時期の怪獣は、「着ぐるみ撮影では表現が難しい」タイプの造形が多いのが特徴です。

冷凍怪獣シーグラ(第1話)は南極から流れてきた氷山の中に潜む怪獣で、冷凍光線で都市を氷漬けにします。竜巻怪獣スパイラル(第2話)は実体を持たず、巨大な竜巻そのものとして現れる極めて特異な存在です。

分裂怪獣ワニゴドン(第3話)では、体の一部が切り離されると別個の怪獣へ成長し、小型個体ペロと少年との交流が描かれます。地底怪獣タフギラン一族(第5話)は、オス・メス・子どもから成る「家族怪獣」として登場し、親が倒されたあと、子ども怪獣タフギラコが縮小されて人間と共に暮らす展開は、「怪獣との共存」というテーマを先取りしています。

反逆者ヘラーと「ウルトラ人同士の戦争」という構図

作品中盤以降、物語はU40出身の反逆者ヘラーを中心とした長期エピソードへ移行します。ヘラーは、かつてU40の市民でありながら、ウルトラマインドの力を「変身能力」ではなく「不老不死」に利用しようと企てた人物です。

ウルトラマインドを巡る価値観の対立、U40支配と宇宙征服を目論むヘラー軍団、それに立ち向かうジョーニアスと七人の戦士、科学警備隊という構図は、「ウルトラ人同士の戦争」を正面から描くものです。ここでは、怪獣はあくまで兵器・尖兵の位置づけであり、ドラマの中心は「同じ力を持つ者同士のイデオロギー対立」へ移っていきます。

艦隊戦・宇宙決戦がもたらしたシリーズ内の転換

ヘラー軍団編のクライマックスでは、惑星U40の奪還戦、ウルトリアを中心とした艦隊戦、七人の戦士とヘラー軍団幹部との決戦など、いわば「宇宙戦記もの」としての見せ場が多数用意されています。当時の『スター・ウォーズ』など、スペースオペラ作品の世界的ヒットもあり、宇宙艦隊戦・惑星攻防戦といったモチーフは、視聴者にとって非常に新鮮なものでした。

ここで注目すべきは、ウルトラシリーズの前提が「地球に怪獣や宇宙人が現れ、地球防衛チームとウルトラマンが対処する」という構図から、「ウルトラ人や地球人が宇宙に打って出て、星間戦争の一翼を担う」という構図へと拡張されていることです。

内山まもる版漫画『ザ・ウルトラマン』――もう一つの「ザ・ウルトラマン」

学年誌から『コロコロコミック』へ――連載の流れ

アニメ版とタイトルこそ近いものの、全く別系統の作品として重要なのが、内山まもるによる漫画版『ザ・ウルトラマン』です。こちらは1970年代半ば、『ウルトラマンレオ』放送終了後のテレビシリーズ空白期に、小学館の学年誌および『コロコロコミック』で展開されました。

内山まもるは『月刊コロコロコミック』創刊当初から看板作家のひとりであり、ウルトラシリーズのコミカライズでも知られる存在です。漫画版『ザ・ウルトラマン』は、M78星雲 光の国とウルトラ兄弟を中心にした物語で、アニメ版のU40とは直接は接続しません。

「ジャッカル編」がもたらした衝撃とウルトラ兄弟の再定義

内山版の代表的エピソードが、「宇宙大魔王ジャッカル」との戦いを描いた通称「ジャッカル編」です。ここでは、宇宙大魔王ジャッカルによって、ウルトラ兄弟が次々と倒され、ウルトラの国は壊滅的打撃を受け、ゾフィーが主人公格として、絶望的状況からの反攻を指揮するという、当時としては相当にショッキングな展開が描かれました。

内山まもるは、ウルトラ兄弟を「銀色の記号的ヒーロー」としてではなく、恐怖し、怒り、迷い、泣きながら戦う存在、兄弟同士で冗談を言い合い、励まし合う仲間として描きます。このキャラクター付けは後年の公式作品にも影響を与えたとされ、特にオリジナルキャラクター・アンドロメロス(メロス)は、その後の映像作品に逆輸入されるほどの人気を獲得しました。

アニメ版との比較で見える二つの「ザ・ウルトラマン」

比較軸アニメ『ザ☆ウルトラマン』漫画『ザ・ウルトラマン』(内山まもる)
主な舞台地球防衛軍極東ゾーン、惑星U40M78星雲 光の国、宇宙各地
主人公ヒカリ超一郎/ウルトラマンジョーニアスゾフィー(およびウルトラ兄弟)、アンドロメロス
ウルトラの出自惑星U40とウルトラマインド光の国と宇宙警備隊
敵勢力ヘラー軍団、各種宇宙怪獣宇宙大魔王ジャッカル、キングバルタンなど
テーマ傾向宇宙戦記・組織ドラマ・異星文明の神話ヒーローの苦悩・友情・復讐と再生
シリーズへの影響U40とジョーニアスの存在が後年マルチバース設定に吸収メロスなどのキャラが後年公式に逆輸入される

両者は直接のクロスオーバーこそありませんが、「テレビシリーズが途絶えた時期に、別メディアからシリーズの可能性を広げた」という点で共通しており、70年代ウルトラのメディアミックス戦略を語るうえで欠かせない両輪になっています。

メディアミックスとしての「ザ・ウルトラマン」――多元宇宙とキャラクターの再解釈

昭和ウルトラにおけるメディアミックスの実態

1970年代のウルトラシリーズは、現在のように最初から「クロスメディア戦略」が体系立てられていたわけではありません。ただし実際には、テレビシリーズ、雑誌連載漫画、絵本・ムック・レコードドラマなど、さまざまな媒体で独自の物語や設定が展開されていました。

メロスやジョーニアスの「逆輸入」が示すもの

21世紀以降、円谷プロは過去の映像・出版作品を再評価し、そこからキャラクターや設定を「逆輸入」する動きを強めています。内山版出身のアンドロメロスは、1980年代に特撮番組『アンドロメロス』として独立作品化され、後年の『ウルトラマンメビウス』外伝などで、内山版モチーフが参照されるケースも見られます。

タイトルとしての「ザ・ウルトラマン」が指し示す地平

アニメ版と漫画版は、世界観の接続を前提にしていないにもかかわらず、どちらも「テレビシリーズ空白期に、別メディアから“ウルトラマンの可能性”を広げた」という一点で並び立ちます。「ザ(THE)」が示すのは“唯一の正史”というより、むしろ“別系統の試みを許容する器”だった――そう捉えると、現代のマルチバース的運用とも自然に接続できます。

『ウルトラギャラクシーファイト』以降の再評価――ジョーニアスはどうアップデートされたか

YouTube発の国際展開とジョーニアス再登場の意味

2019年以降、円谷プロはYouTubeを中心に、全世界同時配信を前提としたオリジナルシリーズ『ウルトラギャラクシーファイト(UGF)』を展開しています。このUGFシリーズで、ウルトラマンジョーニアスは映像作品の前線へ本格復帰します。

実写スーツのアクションが継承したアニメのイメージ

UGFのアクションは、坂本浩一監督の手によるスピーディかつ立体的なカメラワークが特徴です。ジョーニアスもそのスタイルの中に組み込まれていますが、プラニウム光線の発射ポーズやビームエフェクトに、アニメ的な「太さ」や軌跡が意識されており、宇宙空間でのバトルで、遠近感を強調したレイアウトが多用されています。

レジェンド戦士としての格付けとファン受容

UGFではジョーニアスが強豪ウルトラマンとして位置づけられ、シリーズ屈指の強敵たちと互角以上に渡り合う描写がなされています。これにより、アニメ版を知らない海外ファンにも「U40のウルトラマン=かなりの強さを持つレジェンド」という印象が浸透していきました。

45周年記念とアーカイブ化の現在地――「過去作」から「資産」へ

映像ソフト・配信でのアクセス手段

『ザ☆ウルトラマン』は、DVD-BOXや一部エピソードの単巻DVDなどでソフト化されてきました。2024年は放送45周年にあたり、HDリマスター版の放送や劇場での特別上映が実現するに至ったとされます。

音楽・グッズ展開とファンコミュニティ

音楽面では、冬木透による主題歌・挿入歌・BGMが、ウルトラシリーズ全体の音源集の一部としてサブスクリプション配信されているケースがあります。グッズ面では、ウルトラアクトやS.H.Figuartsなどのアクションフィギュアシリーズでジョーニアスが立体化されたほか、Tシャツやキーホルダーなどのキャラクターグッズも随時展開されています。

昭和アニメ特撮をめぐる保存と再評価の課題

一方で、セルアニメ時代の作品には、オリジナルネガやフィルムの保存状況、テレビ版とビデオ版での編集差異、音源のマスターテープの有無など、アーカイブ上の課題も残っています。

まとめ――『ザ・ウルトラマン』が切り拓いたもの

アニメ版『ザ☆ウルトラマン』(1979〜1980)と、内山まもる版漫画『ザ・ウルトラマン』(1970年代半ば〜)は、いずれもテレビシリーズの空白期に登場し、ウルトラマンというキャラクター/シリーズの可能性を別々の方向へ押し広げた作品でした。

アニメ版は、惑星U40とウルトラマインドという新たな神話、科学警備隊とウルトリアによる宇宙戦記、一話完結怪獣ドラマとヘラー軍団編の長編スペースオペラを通じて、「ウルトラマンをアニメーションでどう描くか」という問いに真正面から取り組みました。

漫画版は、宇宙大魔王ジャッカルとの戦い、ゾフィーやウルトラ兄弟の心理描写、アンドロメロスに代表されるオリジナル戦士を通じて、「ヒーローとしてのウルトラマンの内面」を掘り下げました。

両者は直接のクロスオーバーこそないものの、21世紀に入ってからのUGFシリーズや各種外伝で、ジョーニアスやメロスのようなキャラクターが再登場・再解釈されていく流れを見ると、1970年代に分岐した複数の「ザ・ウルトラマン」が、現代のマルチバース的世界観の中で、ゆっくりと合流しつつあるとも言えます。


表1:『ザ☆ウルトラマン』の主張と構造

具体的な描写・設定視聴体験への効果
宇宙規模のドラマ惑星U40、ヘラー軍団、宇宙艦隊戦ウルトラシリーズのスケールが「地球防衛」から宇宙戦記へ広がる
人間ドラマ/共同体科学警備隊の日常・隊長交代・恋愛・家族ヒーロー番組でありながら、連続ドラマとしての見応えを強化
異星文明の神話性ウルトラマインド、七人の戦士、U40の古代史ウルトラマンを単なるヒーローでなく「神話的存在」に近づける
アニメ表現の活用流体怪獣・竜巻怪獣・巨大戦艦など実写では難しいビジュアルシリーズに新鮮なイメージを導入し、既存ファンにも別種の驚きを提供

表2:アニメ版と漫画版「ザ・ウルトラマン」の比較

比較軸アニメ『ザ☆ウルトラマン』漫画『ザ・ウルトラマン』(内山まもる)
主な舞台地球防衛軍極東ゾーン、惑星U40M78星雲 光の国、宇宙各地
主人公ヒカリ超一郎/ウルトラマンジョーニアスゾフィー(およびウルトラ兄弟)、アンドロメロス
ウルトラの出自惑星U40とウルトラマインド光の国と宇宙警備隊
敵勢力ヘラー軍団、各種宇宙怪獣宇宙大魔王ジャッカル、キングバルタンなど
テーマ傾向宇宙戦記・組織ドラマ・異星文明の神話ヒーローの苦悩・友情・復讐と再生
シリーズへの影響U40とジョーニアスの存在が後年マルチバース設定に吸収メロスなどのキャラが後年公式に逆輸入される

論点のチェックリスト

  • 1970年代後半、実写特撮はコストと編成面で苦境に立っていた
  • その代替/拡張手段として、円谷プロはテレビアニメ化を選択した
  • 『ザ☆ウルトラマン』は円谷プロ企画+日本サンライズ制作の初の本格アニメ版ウルトラマンである
  • 音楽には冬木透が参加し、オーケストラ的スコアで壮大な世界観を支えた
  • 本作は「第3期ウルトラシリーズ」の起点として、シリーズ構造の更新を担った
  • 宇宙規模のドラマ・群像劇・新しいウルトラ神話という三つの軸が特徴になっている
  • 内山まもる版『ザ・ウルトラマン』は、独立した世界観でウルトラ兄弟の人間性を描いた
  • 現代のマルチバース設定により、両作品のキャラクターが再評価されている

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