※本記事は『ザ☆ウルトラマン』(1979〜1980年放送)および内山まもる版漫画『ザ・ウルトラマン』の内容に結末まで触れます。未見の方はご注意ください。
『ザ☆ウルトラマン』とは何か――「第3期」開幕を告げたアニメ版ウルトラマン
テレビ新作の空白期からアニメ版へ
1970年代前半のウルトラシリーズは、『ウルトラマンA』『ウルトラマンタロウ』『ウルトラマンレオ』と続き、1975年の『レオ』終了後、テレビ新作には約4年の空白が生まれました。放送ライブラリーは、本作誕生の背景として雑誌での復活運動と旧シリーズの再放送人気を挙げています。
巨大戦艦と宇宙を、遠慮なく広げて見せる。僕はアニメ版『ザ☆ウルトラマン』で、このスケールを楽しみたい。1979年のウルトラマンが、科学警備隊と宇宙へ出る。スーツで撮る作品とは違う広がりが、画面にある。
そうしたなかで生まれたのが、1979年4月4日〜1980年3月26日にTBS系で放送されたテレビアニメ『ザ☆ウルトラマン』です。円谷プロダクションが企画・制作主体となり、アニメーション制作は日本サンライズ(現・サンライズ/バンダイナムコフィルムワークス)が担当しました。ウルトラシリーズとしては初の本格的テレビアニメであり、後に「第3期ウルトラシリーズ」の最初の作品と位置づけられます。
円谷プロ×日本サンライズの共同制作
当時の日本サンライズは、『無敵超人ザンボット3』(1977)や『無敵鋼人ダイターン3』(1978)など、メカ描写と群像劇に強みを持つスタジオとして頭角を現していました。円谷プロがサンライズをパートナーに選んだことで、『ザ☆ウルトラマン』はウルトラシリーズのテイストと、サンライズ流のスペースオペラ&メカSFが融合した作品になります。
- 宇宙艦隊戦
- ウルトラ人が暮らす惑星U40の文明
- 巨大戦艦ウルトリアを中心とした艦隊アクション
艦隊が動き、異星の文明が広がる。僕は、宇宙を舞台として使い切ろうとする画面に惹かれます。制作費の比較をするより、アニメーションでどんな世界を見せてくれたのかを語りたいのです。
音楽は宮内国郎と冬木透が担当し、オーケストラの響きで作品世界を支えました。主題歌「ザ・ウルトラマン」の作曲は宮内国郎です。
シリーズ構造としての「第3期ウルトラシリーズ」
翌1980年には『ウルトラマン80』があり、1996年の『ティガ』は平成の新たな展開の起点になります。その間にある本作を、僕は「アニメ版」という一言で片づけたくありません。科学警備隊の人間関係、U40の文明、宇宙の戦いが重なるところに、語りたい魅力があります。
- アニメーションによる表現領域の拡張
宇宙規模の戦争、星間文明、流体生物など、実写特撮では難しいスケールと造形を正面から扱った。 - 地球防衛組織=科学警備隊の群像劇化
隊長交代や隊員の私生活・恋愛など、実写以上に長期ドラマ的な要素が盛り込まれた。 - 「もうひとつのウルトラの星」U40という独自神話
M78星雲とは別系統のウルトラ人を創出し、シリーズ世界観を多元的に広げた。
科学警備隊とヒカリ超一郎――組織ドラマとしての『ザ☆ウルトラマン』
ヒカリ超一郎=ジョーニアスの二重性の描き方
主人公は地球防衛軍宇宙ステーションEGG3所属の宇宙開発員・ヒカリ超一郎。科学警備隊への転属途上で、宇宙空間に出現したウルトラマンジョーニアスと遭遇し、一体化します。以後、彼は科学警備隊隊員としての日常と、ウルトラマンとしての戦いを並行して生きることになります。
ヒカリの声は富山敬、ジョーニアスの声は伊武雅之。星型のビームフラッシャーで変身し、第21話以降は「ウルトラチェンジ!」と叫びます。僕が面白いと思うのは、同じ体で戦っていても、二人の意識があることです。変身の格好よさと共に、その内側の関係も見ていたくなります。
第1話で赤い光と出会ったヒカリは、一体化の出来事を最初は夢と思い込みます。僕は、意識の中で二人が対話する描写に惹かれます。人間が巨人になるだけでなく、別の存在と一緒に生き、戦う。その関係が見えるところが本作の面白さです。
科学警備隊メンバーと日常描写の豊かさ
科学警備隊は、地球防衛軍極東ゾーンに設置された精鋭部隊という設定です。アニメであることを活かし、各隊員の私生活や感情の揺れが、従来以上に描き込まれます。
| 人物・ロボット | 役割 | 声 |
|---|---|---|
| ヒカリ超一郎 | ジョーニアスと一体化 | 富山敬 |
| アキヤマ徹男 | 初代キャップ | 森川公也 |
| ゴンドウ大助 | 二代目キャップ | 柴田秀勝 |
| 星川ムツミ | 科学警備隊員 | 島本須美 |
| トベ博明 | メカに詳しい隊員 | 二瓶正也 |
| マルメ敬 | 力自慢の隊員 | 兼本新吾 |
| ピグ | 仲間のロボット | 滝口順平 |
初代隊長のアキヤマ徹男は冷静沈着で部下思いのリーダーとして前半を支えます。二代目隊長のゴンドウ大助は中盤で着任し、より軍人寄りの厳格さを持ち、ヘラー軍団との決戦期にふさわしい指揮官像として機能します。
星川ムツミの声は島本須美です。僕には、ムツミがヒカリたちと行動を共にすることで、科学警備隊が戦闘のためだけの集団に見えなくなります。隊員それぞれの感情があるから、チームの日常にも目を向けたくなるのです。
ピグの声は滝口順平。僕は、この豊かな感情表現を大事に受け取りたい。便利な道具として見ていたら、ピグの魅力を取り逃がしてしまう。一緒に行動する仲間として見ると、科学警備隊というチームにも、いっそう親しみが湧きます。
ウルトリアの艦隊戦と「メカSF」の魅力
巨大戦闘艦ウルトリアは、科学警備隊の戦いを宇宙へ広げる重要な存在です。終盤には、科学警備隊がU40のウルトラ艦隊と共にヘラー軍団へ挑みます。
セル画で描かれた艦隊戦や宇宙のドッグファイトに、僕はメカSFの楽しさを感じます。ウルトリアがいることで、科学警備隊は地球で待ち受けるだけの組織ではなくなる。人間たち自身が宇宙へ踏み出すところまで見せてくれるのが嬉しいのです。
惑星U40とウルトラマインド――アニメ版ならではの世界
「もうひとつのウルトラの星」U40の歴史と神話
『ザ☆ウルトラマン』で最も特徴的なのが、主人公ウルトラマンジョーニアスの出自です。彼は、従来のウルトラシリーズでおなじみのM78星雲 光の国の出身ではなく、「惑星U40(ユーフォーティー)」という独自の異星文明から来た戦士として描かれます。
U40の神殿風の建築と衣装は、古代ギリシャを思わせる。高度な科学文明の話なのに、神話的な風景もある。僕は宇宙艦隊のスケールだけでなく、この世界の姿も眺めたい。
ウルトラマインドと「選ばれた戦士」の構図
U40の人々はウルトラマインドを生み出し、変身能力を得ます。僕が惹かれるのは、ジョーニアス一人の出自を説明して終わらず、一つの文明の歴史まで語るところです。ヒーローの向こうに、暮らす人々と、その星の時間が見えてきます。
ウルトラ人は変身できますが、巨大化できるのはジョーニアスを含む8人の戦士です。第20〜21話では、回復中のジョーニアスを除く、エレクやロトたち7人がU40を守って戦います。ここでは「変身」と「巨大化」を分けて捉えると、設定がわかりやすくなります。
ジョーニアスの戦闘表現とアニメならではの見せ方
円谷プロの公式プロフィールでは、ジョーニアスの身長は70メートル、体重は5万トンです。初代ウルトラマンとは姿も出自も異なる、U40の戦士として紹介されています。
必殺技はプラニウム光線です。僕は、巨体と大胆な光の組み合わせにアニメならではの迫力を感じます。画面を走る光が、ジョーニアスの戦いを大きく見せる。宇宙の広がりと共に、この光の表現も楽しみたいところです。
怪獣から「ヘラー軍団編」へ――スペースオペラ化するウルトラマン
アニメならではの怪獣表現とエピソード群
前半は、一話完結の怪獣エピソードが中心だ。アニメならではの造形を見ると、スーツで撮ったらどう見えるだろうとも想像したくなる。怪獣の形を楽しむ入口まで、実写作品とは違っている。
第1話のシーグラに続き、第2話にはスパイラルが登場します。僕は、竜巻のように姿を変えて襲うスパイラルの見せ方が面白いと思います。形そのものが動きと攻撃になるところに、アニメーションの自由さを感じるのです。
第3話はワニゴドンと、小さなペロを可愛がる少年の物語。第5話では科学警備隊が森林消失を調べ、地中でタフギラスに遭遇します。僕は、宇宙の大きな戦いへ向かう作品に、こうした生き物への愛着もあるところを語りたい。怪獣を倒すだけでは閉じない幅があります。
反逆者ヘラーと「ウルトラ人同士の戦争」という構図
作品中盤以降、物語はU40出身の反逆者ヘラーを中心とした長期エピソードへ移行します。ヘラーは、かつてU40の市民でありながら、ウルトラマインドの力を「変身能力」ではなく「不老不死」に利用しようと企てた人物です。
ウルトラマインドを巡る価値観の対立、U40支配と宇宙征服を目論むヘラー軍団、それに立ち向かうジョーニアスとエレク、ロトたち、科学警備隊という構図は、「ウルトラ人同士の戦争」を正面から描くものです。ここでは、怪獣はあくまで兵器・尖兵の位置づけであり、ドラマの中心は「同じ力を持つ者同士のイデオロギー対立」へ移っていきます。
艦隊戦・宇宙決戦がもたらしたシリーズ内の転換
終盤、科学警備隊とウルトラ艦隊はU40奪還へ向かいます。第49話で潜入した科学警備隊は捕らえられ、第50話ではジョーニアスと分離したヒカリも仲間と行動します。僕は、巨人と離れても、ヒカリ自身の戦いが続くところに目を向けたい。宇宙の決戦の中で、人間側の存在が薄くならないのです。
ここで注目すべきは、ウルトラシリーズの前提が「地球に怪獣や宇宙人が現れ、地球防衛チームとウルトラマンが対処する」という構図から、「ウルトラ人や地球人が宇宙に打って出て、星間戦争の一翼を担う」という構図へと拡張されていることです。
内山まもる版漫画『ザ・ウルトラマン』――もう一つの「ザ・ウルトラマン」
学年誌から『コロコロコミック』へ――連載の流れ
アニメ版とタイトルこそ近いものの、全く別系統の作品として重要なのが、内山まもるによる漫画版『ザ・ウルトラマン』です。こちらは1970年代半ば、『ウルトラマンレオ』放送終了後のテレビシリーズ空白期に、小学館の学年誌および『コロコロコミック』で展開されました。
内山まもるは『月刊コロコロコミック』創刊当初から看板作家のひとりであり、ウルトラシリーズのコミカライズでも知られる存在です。漫画版『ザ・ウルトラマン』は、M78星雲 光の国とウルトラ兄弟を中心にした物語で、アニメ版のU40とは直接は接続しません。
「ジャッカル編」がもたらした衝撃とウルトラ兄弟の再定義
内山版の代表的エピソードが、「宇宙大魔王ジャッカル」との戦いを描いた通称「ジャッカル編」です。ここでは、宇宙大魔王ジャッカルによって、ウルトラ兄弟が次々と倒され、ウルトラの国は壊滅的打撃を受け、ゾフィーが主人公格として、絶望的状況からの反攻を指揮するという、当時としては相当にショッキングな展開が描かれました。
僕が内山版で惹かれるのは、ウルトラ兄弟を、恐怖や迷いも抱えて戦う仲間として読めるところです。強い戦士たちにも苦悩があるから、友情と反攻の意味が重くなる。鎧をまとったメロスはアンドロメダ星雲支部隊長ですが、似た名前のアンドロメロスとは登場作品を分けて楽しみたいところです。
アニメ版との比較で見える二つの「ザ・ウルトラマン」
| 比較する点 | アニメ | 内山まもるの漫画 |
|---|---|---|
| 中心となる戦士 | ジョーニアス/ヒカリ | ウルトラ兄弟、メロス |
| 主な舞台 | 地球、U40 | 光の国、宇宙各地 |
| 代表的な敵 | ヘラー軍団 | ジャッカル |
| 本記事で注目する魅力 | 科学警備隊と宇宙の戦い | 戦士たちの苦悩と友情 |
両者は直接のクロスオーバーこそありませんが、「テレビシリーズが途絶えた時期に、別メディアからシリーズの可能性を広げた」という点で共通しており、70年代ウルトラのメディアミックス戦略を語るうえで欠かせない両輪になっています。
メディアミックスとしての「ザ・ウルトラマン」――アニメと漫画の異なる世界
昭和ウルトラにおけるメディアミックスの実態
1970年代のウルトラシリーズは、現在のように最初から「クロスメディア戦略」が体系立てられていたわけではありません。ただし実際には、テレビシリーズ、雑誌連載漫画、絵本・ムック・レコードドラマなど、さまざまな媒体で独自の物語や設定が展開されていました。
似た名前の戦士と作品を整理する
小学館の『ザ・ウルトラマン 単行本初収録&傑作選 上』は、メロスが登場する「ジャッカル対ウルトラ兄弟」と、アンドロメロスが活躍する「ウルトラ戦士銀河大戦争」を区別して紹介しています。似た名前の戦士でも、どの作品での活躍を指すかを確認すると、作品の関係を読み違えずに楽しめます。
二つの「ザ・ウルトラマン」を読み比べる
僕が並べて読むなら、アニメ版の「宇宙へ広がる戦い」と、漫画版の「戦士たちの苦悩と友情」に注目します。世界観は直接つながらなくても、それぞれにウルトラマンの世界を広げる力がある。タイトルの近さを入口に、違う魅力へ進める組み合わせです。
『ウルトラギャラクシーファイト』以降の再評価――ジョーニアスはどうアップデートされたか
YouTube発の国際展開とジョーニアス再登場の意味
ジョーニアスは、2020年から配信された『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』に登場します。僕は、アニメから始まった戦士が、実写の戦士たちと並んでいることに、シリーズの広がりを感じます。表現の違いを越えて、一人のウルトラマンとして立っている姿が嬉しいのです。
実写スーツのアクションが継承したアニメのイメージ
『大いなる陰謀』の監督は坂本浩一。実写スーツのアクションで見せるジョーニアスの力強さにも、僕は惹かれます。アニメの光と巨体を楽しんだうえで、今度は身体の動きでその強さを受け取れる。表現が増えること自体が、見る楽しみになります。
公式プロフィールから見るジョーニアスの立ち位置
円谷プロの公式プロフィールは、ジョーニアスをU40最強のウルトラマンとして紹介しています。僕は、この立ち位置を知ってから後年の作品を見ると、他の戦士たちとの共演をいっそう楽しめると思います。
45周年記念の映像商品と音源集
映像ソフト・配信でのアクセス手段
2024年11月22日には、全50話を初めてHDリマスター化したブルーレイBOXが発売されました。終盤4話を一本化した『長篇アニメ映画 ザ☆ウルトラマン ウルトラの星へ!!』も収録されています。また、2024年10月4日からTOKYO MXでHDリマスター版の放送が始まりました。
音源集で楽しむ二人の作曲家
音楽では、2019年発売の『ザ☆ウルトラマン 40th ANNIVERSARY MUSIC COLLECTION』が、宮内国郎と冬木透の劇伴をまとめています。主題歌だけでなく、場面ごとの音楽に耳を傾けると、二人の作曲家が支える作品の響きを楽しめます。
映像と音楽を行き来する楽しみ
僕は、映像を見直すときに音楽へも目を向けたいと思います。画面のスケールを、どんな響きが支えているのか。音源集と映像を行き来すると、巨大戦艦や異星文明を見せる作品の魅力を、違う角度から捉えられるからです。
まとめ――『ザ・ウルトラマン』が切り拓いたもの
アニメ版『ザ☆ウルトラマン』(1979〜1980)と、内山まもる版漫画『ザ・ウルトラマン』(1970年代半ば〜)は、いずれもテレビシリーズの空白期に登場し、ウルトラマンというキャラクター/シリーズの可能性を別々の方向へ押し広げた作品でした。
アニメ版は、惑星U40とウルトラマインドという新たな神話、科学警備隊とウルトリアによる宇宙戦記、一話完結怪獣ドラマとヘラー軍団編の長編スペースオペラを通じて、「ウルトラマンをアニメーションでどう描くか」という問いに真正面から取り組みました。
漫画版は、宇宙大魔王ジャッカルとの戦い、ゾフィーやウルトラ兄弟の心理描写、メロスのようなオリジナル戦士を通じて、「ヒーローとしてのウルトラマンの内面」を掘り下げました。
アニメの艦隊戦と科学警備隊。漫画の戦士たちの苦悩。僕は、この二つを同じ話へまとめたくない。表現が変わると、見たいウルトラマンも増える。ピグを仲間として楽しむことも、内山まもるの戦士たちを追うことも、この広がりにある。
確認に用いた資料
放送ライブラリー:第1話・放送期間・出演者/円谷プロ:ジョーニアスの公式プロフィール/ABEMA:第1話のあらすじ・キャスト。
講談社テレビマガジン:U40の変身・巨大化/同:第21話と変身の掛け声/小学館:メロスとアンドロメロスの収録作品/東京フィギュア:漫画版メロス。
日本コロムビア:40周年音源集/円谷プロ公式:2024年ブルーレイBOX告知/バンダイ:HDリマスター版放送告知。
Apple TV:第3話のあらすじ/円谷プロ:『大いなる陰謀』発表資料(2020年)。
この作品をDVD・Blu-rayで観る




コメント