空の大怪獣ラドン感想|街を吹き飛ばす怪獣の最期が、こんなに哀しい

「空の大怪獣ラドン」(あらすじと作品概要)のアイキャッチ 怪獣

あれだけ人間を脅かした怪獣なのに、最後にはラドンが哀しくなる。飛ぶ姿は格好いい。風圧で壊れる街は怖い。それを観てきた僕が、最期には生き物として見てしまう。1956年の『空の大怪獣ラドン』は、この気持ちまで残る映画だ。※以下、結末に触れます。

阿蘇山麓の坑道に現れるメガヌロン、そして音速を超えて飛ぶラドン。地底の恐怖から、空を飛ぶ脅威へ広がる映画です。本多猪四郎公式サイトでは、東宝初のカラー特撮映画と紹介されています。

原作は黒沼健、脚本は村田武雄と木村武。怪獣が街を襲う姿は、僕には自然災害のような脅威にも見える。人間が相手にしているのは、自分たちの暮らしを簡単に崩す存在です。

監督は本多猪四郎、特技監督は円谷英二。僕はこの映画を、地底の怖さ、飛行と風圧の迫力、怪獣の最期に残る情という三つから語りたい。特撮の技術と、観終えた後の感情を一緒に楽しめるところが魅力です。

空飛ぶ怪獣ラドンの魅力とは?

音速を超えて飛び、その衝撃波が破壊を起こす。ラドンの格好よさを「空の王者」と呼ぶなら、その怖さも飛ぶ力と結びついています。飛んでいるだけで、周りの世界を壊す。ここを映像として見せるのが面白い。

翼を広げて空を切り裂く姿は、まさに「空の王者」。僕が推したいのは、姿の格好よさと、飛行そのものの脅威が一緒に伝わるところです。

ミニチュアや風圧の描写が、スピードの感覚を作る。鋭いクチバシ、爪、羽ばたきからは、生き物らしさも感じられます。速くて強い怪獣という設定を、画面の中の動きとして見られるのがいい。

怪獣なのに、鳥を見ているような感覚もある。僕が結末で情を感じることと、この生き物らしさは繋がっています。巨大な脅威であると同時に、翼を持って生きる存在でもある。そこまで見えるラドンを推したい。

地底怪獣メガヌロンのインパクト

メガヌロンは、ラドンより先に登場する怪獣です。『空の大怪獣ラドン』では、古代トンボの幼虫をモチーフにしています。

暗く湿った坑道から現れ、人間を襲う。前半は、ホラー映画に近い怖さがあります。広い空を飛ぶラドンを見せる前に、逃げ場の限られた地底で恐怖を作る。その違いも、僕がこの映画を薦める理由です。

複数のメガヌロンがいることで、目の前の一体だけを相手にしている感じでもなくなる。坑道の奥にまだ何かいる、という怖さがある。前半の脅威として、強烈な印象を残します。

メガヌロンを、ラドンが出てくる前の前座だけで片づけたくない。この地底の恐怖があるから、やがて空に広がる脅威への変化も楽しめるのです。

僕が注目するのは、映画に暗い影を落とすこの存在感です。タイトルの怪獣だけでなく、メガヌロンが作る前半の空気まで味わってほしい。

円谷英二の特撮――ラドンの飛行と風圧をどう見せるか

円谷特撮の見どころとして僕が挙げたいのは、ミニチュアで見せる飛行と風圧です。ラドンが飛ぶ。周囲の建物が壊れる。飛ぶ怪獣と、その力を受ける街が一つの場面として伝わってくる。

風や煙が動き、建物が崩れる。見えない風圧を、壊れるミニチュアの街が見せてくれる。飛ぶだけで、周りが壊れる。ラドンの強さを数値で聞くより、この街を観るほうが僕には怖い。

空を飛ぶ怪獣を、どう怖く、どう格好よく見せるのか。その工夫を画面から味わえる。僕にとって、飛行怪獣の魅力と特撮の面白さが繋がる一本です。

ラドンの結末――怪獣の最期に哀しみを感じる理由

終盤、ラドンたちは阿蘇山の噴火に呑み込まれます。一体が倒れ、もう一体がその後を追うように見える。この最期を、僕は怪獣の情を感じる場面として受け止めています。

それまで人間を脅かしていた怪獣なのに、最期には共感や哀しみを抱いてしまう。恐怖の象徴だったものが、命ある生き物として迫ってくる。僕にとって、この結末はそこが大きい。

ラドンの脅威を楽しんだうえで、その死に情を感じる。二つの感情が同じ映画に残ります。怪獣を倒して終わり、という一言では語りたくない。僕がこの映画を薦める理由は、飛行の迫力と、最後に残る哀しみの両方です。

今の目で見るラドン――生き物としての怪獣と、その後の作品

今この映画を観るなら、地底の恐怖から空の脅威、そして怪獣の最期までを一続きで追ってほしい。自然災害のように感じる破壊と、生き物への情が重なる。僕は、そこを見直す価値に数えています。

怪獣を「生き物」として見てしまう。この受け止めが、僕にとっての初代ラドンの魅力です。後年の『三大怪獣 地球最大の決戦』や『ゴジラvsメカゴジラ』では、また違う役割のラドンを楽しめますが、まずは1956年の映画で、この怖さと哀しみを味わってほしい。

メガヌロンの坑道は怖い。ラドンの飛行は格好いい。そして最期は哀しい。僕には、三つがひと続きの映画なのだ。街を壊す脅威だった怪獣を、最後には生き物として見てしまう。この後味まで、初代ラドンだと思う。

視聴方法と関連作品の紹介

観るときは、U-NEXTやAmazon Prime Videoなどの作品ページで、最新の配信有無と料金を確認してください。見放題か有料レンタルか、無料体験の対象になるかは、サービスや時期によって変わります。

Blu-rayの特典も版によって違うので、購入する商品の公式収録内容を確認しましょう。『ゴジラ』『モスラ』『三大怪獣 地球最大の決戦』と並べて観ると、東宝怪獣の世界が広がります。

特に『三大怪獣 地球最大の決戦』は、ゴジラ・モスラ・ラドンの共闘を楽しめる名作。併せて観たい1本です。

作品・制作情報:映画監督・本多猪四郎公式サイト『空の大怪獣ラドン』。自然災害の比喩や結末の受け止め方は筆者の考察です。

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