スーパー戦隊を1本だけ残せと言われたら?
ウルトラマンなら初代。仮面ライダーなら1号。ゴジラなら1954年版。僕はそれぞれの始まりを選ぶ。
でも、スーパー戦隊なら迷わない。
『五星戦隊ダイレンジャー』を残す。
もちろん、思い出補正はある。というか、思い出補正はラーメン二郎並み増し増し増し。
幼稚園時代、友達とダイレンジャーごっこをしていた僕に、思い出を抜いて採点しろと言われても困る。僕の担当はキリンレンジャーだった。その僕が大人になって見返しても、やっぱりダイレンジャーが好きなのだ。
カズへの憧れも、怪人の散り方も、龍星王の構えも。僕がこの戦隊を最高傑作だと思う理由は、そういう「好き」の積み重ねにある。
※第8話の結末など、物語の内容に触れます。
戦隊50年超で1本だけ残すならダイレンジャー
『五星戦隊ダイレンジャー』は、1993年2月19日から1994年2月11日まで放送された、スーパー戦隊シリーズ第17作。全50話の作品だ。
中国拳法を取り入れたアクション。気力で戦う5人と、後から加わるキバレンジャー。相手はゴーマ族。巨大戦には龍星王や大連王が登場する。
まずは、それくらい分かれば十分。僕が話したいのは、その中に何があるかだ。
スーパー戦隊50年超の歴史で、1作品だけ残すなら『五星戦隊ダイレンジャー』。これは僕にとっての最高傑作だ。
好きな戦隊はほかにもある。でも、ここで1本を選ぶならダイレンジャーだ。幼稚園のキリンレンジャーから、今の僕が好きな大五まで、一本の中に自分の好きが重なっている。
それでも1本に絞れと言われたら、僕はダイレンジャーを選ぶ。カズへの憧れ、第8話、ノコギリ大僧正、武人変化した龍星王。そして、見返して好きになった大五。これだけ自分の「好き」が集まっている作品を、外せない。
幼稚園時代、僕はキリンレンジャーだった
幼稚園時代、友達とダイレンジャーごっこをしていた。
僕の担当は、キリンレンジャー/知(カズ)。
あのキザな態度が、子ども心にカッコよかった。
今なら「気取ってるなあ」と思うようなところも、当時の僕には、それがいい。ちょっと格好をつけている感じも含めて、カズに憧れていた。
作品紹介なら「おしゃれな美容師」と説明できる。でも僕にとっては、それだけでは終わらない。カズは、友達と遊ぶときに自分がなっていたヒーローなのだ。
だから、ダイレンジャーの好きなところを聞かれたら、まず幼稚園時代のキリンレンジャーが出てくる。作品を評価する前に、もう僕の側にいる。
この気持ちは、設定表には載っていない。でも僕がダイレンジャーを好きな理由としては、ものすごく大きい。
大人になった今は、大五がカッコいい
ところが、大人になって見返すと、別の人に目が行く。
シシレンジャー/大五(ダイゴ)。
今見ると、大五がカッコいい。
冷静で、優しい。その落ち着きがいい。カズのキザな格好よさとは、また違うものに惹かれるようになった。
クジャクとの物語もある。復讐に向かうクジャクと、大五の関係は、一度会って終わりではない。二人のことを気にしながら、次の登場を待つようなドラマになっている。
ただ強い人、ただ優しい人、と紹介して終わるには、惜しい人物だと思う。
子どもの頃はカズが好きだった。今は大五がカッコいいと感じる。その両方が本当だ。
同じ作品なのに、好きな人物が変わる。昔の特撮を見返すのは、こういうところが面白い。
ダイレンジャーを見返しているのに、自分の「カッコいい」の変化まで分かってしまう。懐かしいだけで終わらないのが、うれしい。
第8話「おやじぃぃッ!!」が大好きだ
特に好きなエピソードを1本挙げるなら、第8話「おやじぃぃッ!!」だ。
この回は、僕の好きなものが詰まりすぎている。
第7話から続く鉄面臂張遼との戦い。その張遼は、亮の父だった。敵として現れた相手が、自分の父親だと分かる。
亮はリュウレンジャーとして戦っている。でも、この相手には「敵を倒せばいい」だけでは済まない。父と息子の話が、ヒーローの戦いの中に入ってくる。
そして大僧正リジュが亮を襲う。張遼は息子を守るためにリジュと戦い、命を落とす。その別れから、大連王の初登場へとつながっていく。
父とのドラマがあって、そこで受け継ぐものがあって、巨大戦の新しい力が現れる。ただ新しいロボが出てくる回ではない。亮の物語を経て大連王が登場するから、その初陣に重みがある。
そのうえ、相手がノコギリ大僧正ですよ。
大僧正リジュが怪人態を見せ、巨大化したノコギリ大僧正として立ちはだかる。そして大連王の必殺技、大王剣・疾風怒濤を受けて爆散する。
父子のドラマ、大連王の初陣、悪幹部の怪人態、必殺技、爆散。
これですよ!
亮と父の話だけでも好きな回になる。でも僕は怪人好きなので、リジュの最期まで含めて「おやじぃぃッ!!」が大好きなのだ。そこは遠慮せずに言っておきたい。
悪幹部が怪人になって爆散する。これがいい
好きな敵キャラクターは、大僧正リジュ/ノコギリ大僧正。
必殺技を受けるスーツの身体と爆発がつながる快感は、龍騎のベノクラッシュを語る記事でも書いている。怪人態の爆散とは違う場面だけれど、僕が惹かれる実写特撮の感触は近い。
怪人の姿が好き、というだけではない。リジュには、僕の大好物の展開がある。
人間態の悪幹部が、最後に怪人態を披露する。
その姿でヒーローと戦う。
必殺技を食らう。
爆散。
最高。
悪幹部が、最後に怪人になる。その姿で戦い、必殺技を受けて爆散する。この流れが大好きなのだ。幹部の顔だけで終わらず、怪人態まで見せてくれる。僕には、その最期も大事な見せ場である。
昔ながらの悪役の散り方かもしれない。でも、だから物足りない、とは僕は思わない。
「こういうのでいい」ではない。「こういうのがいい」。
とりあえず納得できる決着、という意味ではない。僕はこの決着を見たいのだ。
リジュは亮と張遼のドラマを動かす相手であり、大連王の初陣の敵でもある。その重要な相手が、最後にノコギリ大僧正になる。第8話を語っていて、僕がつい敵のほうへ話を戻してしまうのは、このためだ。
僕が一番好きなのは武人変化した龍星王
第8話では大連王が登場するし、大連王ももちろんカッコいい。
でも、ダイレンジャーの巨大戦で一番好きなものを聞かれたら、僕は武人変化した龍星王を選ぶ。
龍型の気伝獣・龍星王が、人型の気伝武人へ変わる。表記は「武人変化」。武器は飛龍棍だ。
僕にはあれが、巨大ロボというより、巨大な拳法家に見える。
人型になったから終わりではない。飛龍棍を手にして、構える。その立ち姿を見ただけで「ああ、ダイレンジャーだ」と分かる。
5人が拳法で戦っていたのに、巨大戦になった途端、その作品らしさがなくなる。龍星王には、そういう切れ目を感じない。大きくなっても、やっぱり拳法なのだ。
棍を持った姿がいい。構えがいい。龍から人になるところがいい。
理屈を並べても、結局そこへ戻ってくる。
5体の気伝獣が合体した大連王は、鎧をまとった武人のようで頼もしい。一方、龍星王単体には、身一つと飛龍棍で戦うような格好よさがある。僕はその姿に惹かれる。
合体する前の形を、ただの途中段階にしておきたくない。龍星王は、単体でも僕の一番なのだ。
ダイレンジャーは大河ドラマだと思う
ダイレンジャーをほかの戦隊と比べて、僕が特に好きなのは、ドラマの続き方だ。
僕はこれを「大河ドラマ的」だと思っている。
長くて難しい話だから、という意味ではない。5人+コウ、それぞれが主人公になれる戦隊だと感じるからだ。
亮には父・張遼の話があり、その後には的場陣との戦いもある。大五にはクジャクとの関係がある。将児にはゴーマ3ちゃんズとの勝負がある。
知には亀夫とのつながりがあり、リンはコウやその母をめぐる物語にも関わっていく。コウ自身には、母との再会や、ゴーマの血を引く自分の出自の問題がある。
全員に同じ種類の家族問題や宿敵があるわけではない。でも、それぞれに追いかけたくなる相手と関係がある。亮の話だけが本筋で、ほかの人は横で戦っている、という感じにならない。
敵と会う。戦う。何かが分かる。でも、その一話では終わらない。次に会ったときには、それまでの関係が効いてくる。
「この二人は、その後どうなるんだろう」と気になっているうちに、別の人物の物語も進んでいく。家族の話、過去の話、敵との因縁、変わっていく関係。複数の人物の人生が、並行して動いているように見える。
僕が言う「大河ドラマ」は、この感じだ。
重いドラマだけが続くわけでもない。将児とゴーマ3ちゃんズのような関係が同じ作品の中にあるのもいい。父子の悲劇と、妙な敵との勝負が、同じ戦隊の物語になる。
第8話の亮と父の話に惹かれ、大五を見てカッコいいと思い、それでもカズを見ると幼稚園時代の自分につながる。入口が一つではないから、僕はこの戦隊を長く好きでいられるのだと思う。
これからダイレンジャーを観る方へ
まずは第1話から観て、第7・8話を続けて観るのがおすすめです。僕は第8話が大好きですが、父・張遼の登場から追うと、亮の物語と大連王の初陣を一続きで楽しめます。
配信で探すなら、U-NEXTの作品ページとHuluのエピソード一覧で、現在の提供状況を確認できます。DVDで観る場合、下記の商品は第1巻です。全話を揃えるには続巻も必要です。
参考資料
東映:ダイレンジャー作品紹介/放送ライブラリー:放送期間・全50話/U-NEXT:出演者と各話紹介/Hulu:第46話「英雄まるはだか」/東映ビデオ:スーパー戦隊一挙見Blu-ray
第8話のタイトルと父子関係はHuluの第8話紹介で、「武人変化」はバンダイ公式・SMP大連王の紹介で、飛龍棍はバンダイ公式・DX大連王の紹介で照合しました。
大連王の初合体でノコギリ大僧正を撃破する点はホビージャパンの大連王記事を補助資料にしています。リジュの怪人態と決着の細部は、公開中の公式紹介だけでは説明が揃わないため、怪人資料「ノコギリ大僧正」も照合に用いました。
この作品をDVD・Blu-rayで観る
思い出補正? 上等だ
ダイレンジャーが好きだと言うとき、僕は思い出補正を外せない。
幼稚園時代、友達とごっこ遊びをしていたこと。キリンレンジャーだったこと。カズのキザな態度をカッコいいと思っていたこと。全部、今の「好き」に入っている。
思い出補正はラーメン二郎並み増し増し増し。
でも、それを減らしてから語らなければいけないとは思わない。
大人になった今は大五がカッコいい。第8話は、亮と父のドラマだけでなく、ノコギリ大僧正の爆散まで大好物だ。武人変化した龍星王も最高。カズに憧れた幼稚園児が、今も怪人と龍星王をこんなに語っている。だから1本だけ残すなら、僕はダイレンジャーを残す。
思い出に加えて、今の僕が好きなものも増えている。
だから、思い出補正の一言で、この作品への気持ちを片づけたくない。
思い出込みで好きなのだから、それでいい。
幼稚園時代のキリンレンジャーも、今、大五をカッコいいと思っている僕も、同じダイレンジャーを見ている。
ほかの戦隊がどれだけ面白くても、僕の中でこの一本を残したい理由は、ここにある。
1本だけ残すなら、僕はダイレンジャーを残す。





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