目次
前回は、海保の隊員が漂流中の船「GLORY-MARU」に乗り込むところまでを解説しました。今回はその続き―
ミニッツライナー|2分目の行動まとめ
船内の確認中、突如海面で大爆発が起きます。主人公の内閣官房副長官・矢口蘭堂が登場し、秘書官の志村から事態の報告を初動対応を行います。そのやり取りは専門用語を多く含み、非常にスピーディ。またこの短いシーンには実相寺アングルという独特な技法で撮影されいます。
船内に潜入する「はまなみ」の隊員
「はまなみ」の隊員が
GLORY-MARU船内に潜入。
そこに置かれていたのは以下の品々:
- 宮沢賢治の詩集『春と修羅』
- 「inter department delivery(部署間配送)」と書かれた封筒
- 折り鶴
- 海図
- 眼鏡
『春と修羅』とは?
宮沢賢治が生前に唯一刊行した詩集。
口語体で書かれており、
賢治は続編として『第二集』『第三集』も構想していました。
inter department deliveryとは?
「部署間配送」「部門間の配達」の意。
社内便で部署間の文書や資料のやりとりに使われる用語です。
(後にゴジラ対策の重要な資料が入っていたと判明)
折り鶴の意味とは?
矢口プランの象徴となるマスターピース。
しれっと登場しますが、しっかり伏線。
観客に考える暇を与えず、物語はスピーディに展開します。
曳航準備、そして爆発
船内に人影が見えないため、「はまなみ」はGLORY-MARUの曳航(えいこう)準備に入ります。
曳航とは、船を他の船で引っ張ること。
車でいうところのレッカー移動のようなもの。
多目的クレーンやウインチで対応しようとしたその時――
突如、爆発が発生。巨大な水柱が上がります。
東京湾アクアライン崩壊と「赤い水」
東京モノレールが走り抜ける手前、アクアトンネルが崩壊。
赤い水がトンネル内に流れ込み、走行中の車を呑み込みます。
この赤い水は何を意味していたのか?
ゴジラの体液描写と照合
- 形態変化のたびに体液を放出
- 鎌田上陸時:エラから液体が
- 放射線流を吐く直前:口から嘔吐のように噴出
この水蒸気爆発は、ゴジラの誕生、または急激な形態変化の証拠と見られます。
首相官邸:初動体制始動
場面は東京都千代田区・首相官邸へ。
志村祐介(内閣官房副長官秘書官)が矢口蘭堂に電話報告。
このときのカメラアングルは、実相寺昭雄監督の演出を彷彿とさせる「逆視点の受話器カット」。
出た!実相寺昭雄!!
志村の報告内容(専門用語オンパレード)
集約センターから第1報連絡です。
アクアライントンネル上り線で亀裂により浸水。
詳細は不明ですが車両数台が巻き込まれた模様です。
先程、官邸連絡室が設置されました。
緊参チームに参集指示が出ています。
たくちゃん:
ワカラナイ、コトバ、タクサン、アル…。
では、それぞれの専門用語を解説していきましょう。
集約センターとは?
内閣情報集約センターのこと。
阪神淡路大震災の教訓から1996年に設置された、24時間体制の初動支援組織です。
官邸連絡室とは?
首相官邸地下1階にある危機管理センター内の緊急対応部署。
- 情報連絡室:情報収集
- 官邸連絡室:省庁間調整
- 官邸対策室:初動対処も実施
官邸連絡室は後に対策室へ格上げされます。
緊参チームとは?
緊急参集チームの略。各省庁の局長級幹部が集まり、初動対処にあたる専門チームです。
東日本大震災では地震発生から14分後に参集したという記録も。
主人公・矢口、登場!
主人公・矢口蘭堂(内閣官房副長官)が登場…しかし逆光+移動カットで顔がまったく見えない。
明確に映るのは、志村が受話器を置くシーン。
たくちゃん:
僕は最初の鑑賞時、志村が主人公だと本気で思っていました。
これは「個人の物語」ではなく「群像劇」であることの象徴でもあります。
今回のまとめ
- 開始2分で怒涛の情報ラッシュ
- 顔が映らない=群像劇の象徴
- パニック映画ではなく政治劇
次回予告
いよいよ名物の「会議シーン」が始まります。
専門用語・登場乗り物などディープに解説していきますよ!
お相手は、シン•たくちゃんブログ総監督のたくちゃんでした。またね!!
参考文献
- 『シン・ゴジラ機密研究読本』(富士見書房)
- 『シン・ゴジラ 政府・自衛隊事態対処研究』(ホビージャパンMOOK 789)
- 『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』(株式会社カラー)
▶ 次回の記事はこちら:
【シン・ゴジラ1分ごと解説】第3回|主人公・矢口蘭堂登場!内閣官房副長官ってどんな役職?
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